2006年10月01日

図解雑学 ローマ帝国

ローマ帝国
阪本 浩(著)
ナツメ社 (2006-03)
¥ 1,554
ISBN:978-4816340796

ローマの誕生から発展、衰亡までを簡潔な文章とわかりやすい図解で説明している本。

各テーマ毎に見開き2ページで左に解説文、右に図解という構成。解説文は簡潔明快でわかりやすい。
同著者の「3日でわかるローマ帝国」とよく似た内容だが「3日でわかるローマ帝国」の方がローマ帝国統治の仕組みに重点を置いているのに対し、「図解雑学 ローマ帝国」の方は出来事の解説に重点を置いているような感じがする。

投稿者 augustus : 2006/10/01 10:47 | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年09月18日

ローマ五賢帝―「輝ける世紀」の虚像と実像

ローマ五賢帝―「輝ける世紀」の虚像と実像
南川 高志(著)
講談社 (1998-01)
¥ 756
ISBN:978-4061493896

教科書的には五賢帝と言えば、「優れた皇帝が元老院議員の中から最も優れた者を養子にして 後継者としたため、英明な皇帝が続いた時代。人類が最も幸福だった時代。」 ということになっている。しかし、実態はそんな綺麗ごとですまされるようなものではなかった。

ドミティアヌス暗殺後に即位した五賢帝一人目のネルウァはドミティアヌス派と 反ドミティアヌス派の政争の中で権力基盤が不安定であった。
トラヤヌスを養子にしたのは、軍事力をもった有力者を後継者として自己の権力を 安定させようとしたものだが、実はトラヤヌスに匹敵する有力候補が他に居て、 厳しい権力闘争が行なわれていたらしい。

こういう五賢帝時代の陰の部分を炙り出して見せてくれるのが本書である。
トラヤヌス以降の各皇帝の時代についても資料をもとに綺麗ごとでない五賢帝時代の実像をわかりやすく描いている。新しい研究成果も含まれており、歴史の面白さを実感させてくれる良書だと思う。

投稿者 augustus : 2006/09/18 11:08 | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年08月27日

古代ローマの日常生活

古代ローマの日常生活
ピエール グリマル(著), 北野 徹(翻訳)
白水社 (2005-03)
¥ 999
ISBN:978-4560508855

ローマの建国の頃からセウェルス朝の頃までの約1000年間を4つに区分して、 各時代の日常生活の様子をコンパクトにまとめている。
住宅、衣服、食べ物のこと、家族制度のこと、子供の教育の様子、職人の仕事の ことなど取り上げる内容は多岐にわたっており描写も具体的でわかりやすい。

共和政ローマの貨幣についての記述があるのは、ローマコインファンとしては素直にうれしい。
しかし、「ローマが最初に銀貨を発行したのは紀元前211年」という記述が 訳注にあるのは何かの誤りだろう。細かいことではあるが、紀元前211年は「最初のデナリウス銀貨が発行された年であり、 銀貨はもっと古く紀元前280年頃から発行されている。

投稿者 augustus : 2006/08/27 11:00 | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年08月05日

碑文から見た古代ローマ生活誌

碑文から見た古代ローマ生活誌
ローレンス ケッピー(著), 小林 雅夫, 梶田 知志(翻訳)
原書房 (2006-07)
¥ 2,625
ISBN:978-4562040261

古代ローマ人がその長い歴史的歩みの中でつちかってきた「碑文」という文化、そして碑文研究を通じて古代ローマ世界の再構築を試みる研究者たちの活動を、古代ローマ史・碑文学研究を専門としない人々、大学の学部学生を含めた一般の人々に、広く認知し、理解してほしいという意図のもとに書かれた啓蒙書です。(訳者あとがきより)

言うまでもなく碑文は古代ローマについての第一級の資料であるが、私を含めて歴史を専門としない者には碑文の読み方を学ぶ機会がほとんど無い。本書のような日本語で読めるローマの碑文学入門書が出版されるのは初めてではないだろうか。実にありがたいことである。

第3章には碑文解読の入門的な知識がまとめられている。字体、略語、人名について、また、石材に合わせてスペースを省略する方法として合字(繋がった文字)が紹介されている。
この章の数詞について解説している部分には貨幣にも関係する面白いことが書かれている。貨幣単位のセステルティウスをHSと書くだが、それがIISから来ているというのだ。セステルティウスは1/4デナリウスなのだが、1デナリウスは当初は10アスであり(後に16アスになる)、1セステルティウスは2.5アスに相当する。Iはローマ数字でお馴染みの1、Sはsemis(半分)の略なので、IISは1+1+0.5=2.5になる。アルファベットと数詞を区別するためにIISの中段に横線を引いたものがHSになったのだ(IとIの間に横線を引いてみるとはっきりする)。

4章から6章までは碑文の年代測定のこと、どのようにして碑文が失われていったかについて、また、集められた碑文の記録と出版の歴史が扱われている。
第7章から第17章までは分野別に碑文からどういうことが分かるかを実例をあげて解説している。各章それぞれ実に興味深い内容である。

第17章にAVG(アウグストゥス)の複数形をAVGGなどと書くのがディオクレティアヌスの頃から始まったように読めるところがあるが、セウェルス朝の頃の実例を見たことがあるので、たぶん何かの誤りだろう。また、一部に誤植はあるが(アントニウス・ピウスと書いてあったりする^^)、そういう細かい誤りを差し引いても素晴らしい本なので全てのローマファンにお勧めしたい。


第1章 序―歴史を塗りかえる碑文
第2章 石切職人とその技術
第3章 碑文の解読法
第4章 碑文の年代推定
第5章 碑文の残存
第6章 記録と出版
第7章 碑文における皇帝
第8章 地方と社会
第9章 ローマへと続く道
第10章 ローマ帝国の運営
第11章 軍隊と前線
第12章 神々の神殿と祭壇
第13章 墓石と記念物
第14章 交易、経済と商業
第15章 POPULUSQUE ROMANUS
第16章 キリスト教
第17章 最後のローマ帝国
第18章 結論―碑文の価値

投稿者 augustus : 2006/08/05 17:05 | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年07月30日

古代ローマ歴代誌―7人の王と共和政期の指導者たち

古代ローマ歴代誌―7人の王と共和政期の指導者たち
フィリップ マティザック(著), 東 真理子(翻訳)
創元社 (2004-09)
¥ 3,780
ISBN:978-4422215181

ローマ建国からの7人の王、それから共和政時代の有力者たちの事績を時代順、人物別に記述した本。
王政期や共和政初期については伝説上の話も多いのだが、伝説の陰に隠された真実についても考察している。中期になるとスキピオ、ファビウス、大カトー、グラックス兄弟など多くの興味深い話を残した有名人が目白押しである。共和政末期には内乱と政争の中にどろどろした人間模様を見ることができるだろう。

図版も多くて読みやすい。各人物の物語を楽しむのも良いし、共和政人物事典として有効に活用することもできる。

投稿者 augustus : 2006/07/30 05:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

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古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
 
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