図解雑学 ローマ帝国

ローマ帝国
阪本 浩(著)
ナツメ社 (2006-03)
¥ 1,554
ISBN:978-4816340796

ローマの誕生から発展、衰亡までを簡潔な文章とわかりやすい図解で説明している本。

各テーマ毎に見開き2ページで左に解説文、右に図解という構成。解説文は簡潔明快でわかりやすい。
同著者の「3日でわかるローマ帝国」とよく似た内容だが「3日でわかるローマ帝国」の方がローマ帝国統治の仕組みに重点を置いているのに対し、「図解雑学 ローマ帝国」の方は出来事の解説に重点を置いているような感じがする。

投稿者 augustus : 10:47 | コメント (0) | トラックバック

ローマ帝国とキリスト教

世界の歴史〈5〉ローマ帝国とキリスト教
弓削 達(著)
河出書房新社 (1989-08)
¥ 893
ISBN:978-4309471648

切っても切れない関係のローマ帝国とキリスト教。この本はローマ帝国をキリスト教の単なる背景としてではなく、「ローマ帝国」と「キリスト教」をどちらも主役として扱おうとしている。

建国から大帝国になるまでのローマの記述も面白く読めるが、初期キリスト教について書いてあるところが特に面白い。
例えば、イエスはユダヤの大評議会で死刑判決を受けるが、死刑の決定権はユダヤ総督ピラトがもっていた。ピラトはイエスが無罪だと思っていたが、死刑にせざるを得なくなる。なぜ、ピラトはイエスに死刑判決を下さざるを得なかったのだろうか。その理由がわかりやすく書いてある。
後の時代にパウロもユダヤ総督のところに連れて行かれるが、そのときの総督も政治的に不安定な立場にあって、かなり困ったらしい。

ローマ帝国とキリスト教の関わり合いについてはディオクレティアヌスとかコンスタンティヌスの時代のことが重要なのだが、紙数の問題か、この部分については記述があっさりしている。

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古代ローマを知る事典

古代ローマを知る事典
長谷川 岳男(著), 樋脇 博敏(著)
東京堂出版 (2004-09)
¥ 2,940
ISBN:978-4490106480

「3日でわかるローマ帝国」がローマが発展した理由、大帝国を維持できた理由にスポットを当てているのに対し、「古代ローマを知る事典」はローマ人の生活に大きな焦点が当てられている。

第1章では史料の分析の仕方について説明している。同時代の人の著作だからといって書いてあることをそのまま信じるわけにはいかない。書いた人の立場によるフィルターがかかっている場合も多いし、何度も繰り返し写本が作られていくうちに写し間違いだって起きるのだ。この章は短いが、私を含めて歴史を専門に学習したわけではない人々にはとてもためになる内容を含んでいる。

第2章、第3章では主に制度的な事が取り扱われている。第4章は通史、第5章はローマが大帝国になった理由を考察している。

第6章から第8章までで、人口、寿命、ライフサイクルを取り扱っている。この3つの章が最も面白い。
共和政ローマでは戸口調査が行われていたが、共和政末期には定期的には行われなくなってしまい、アウグストゥスが復活させたが、定着しなかった。だから、人口を調べるのも容易なことではないのだ。
寿命については、エジプトに残っている戸口調査の記録、「ウルピアヌスの生命表」と呼ばれる法史料、墓碑銘、発掘された骨などから推測するようなのだが、これもなかなか大変なことだ。その推測によると、ローマ人は生まれて1年以内に3割以上が死亡し、5歳の誕生日を迎えることができるのは半分くらいしかいないのだそうだ。

第9章ではローマの経済について書いている。 特に興味深かったのは、グリーンランドの氷の層に含まれる鉛や銅の量を時代毎に測定したグラフだ。ローマ時代はかなりの量の金属成分が検出されるが、それを越えるレベルになるのは、産業革命の頃になってからなのだそうだ。ローマ時代に鉱業が盛んであったことがとてもよくわかる。

この本は結論だけを書かずに専門外の人にもわかるように推論の理由を説明してくれている。歴史の学び方を示唆してくれているようで、実に素晴らしい本である。

投稿者 augustus : 19:01 | コメント (0) | トラックバック

3日でわかるローマ帝国

3日でわかるローマ帝国
阪本 浩(著)
ダイヤモンド社 (2001-12)
¥ 1,470
ISBN:978-4478920329

この本はローマがいかにして小さな都市国家から発展して大帝国を築くことが出来たか、そしてその大帝国をいかにして維持することが出来たのかという疑問に答えようとする本である。
2ページから3ページ毎に小さなテーマを建て、簡潔にわかりやすく答えている。分かりやすい図も添えられており、まるで黒板を見ながら講義を聴いているかのようである。
「3日でわかる」というのもまんざら誇張ではない。飽きっぽい人でも一気に読んでしまうことができるだろう。

惜しむらくは、3世紀の危機までは丁寧に説明が続けられているのだが、ディオクレティアヌス以降は駆け足になってしまっている。末期のローマ帝国にも興味深いテーマはあると思うので、続編を期待したい。

投稿者 augustus : 22:35 | コメント (0) | トラックバック


古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)