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「帝国」としての中期共和政ローマ

「帝国」としての中期共和政ローマ
比佐 篤(著)
晃洋書房 (2006-04)
¥ 3,780
ISBN:978-4771016989

中期共和政ローマが「都市国家」でありながら「帝国」としての特性を備えていった過程を明らかにしようとする論文集。

第1部で制度史を中心にしつつ、ローマがどのような意識をもって対外政策に臨んでいたのかを考察し、第2部で対外政策を担った個々の政治家たちが持っていたローマの対外政策全体とは異なる個々人の意図を主に扱っている。 大雑把に言うと中期共和政ローマでは対外政策よりもイタリア統治を重視していたが、個々人は対外戦争などで功績を挙げて立身に役立てたいという意識が強かったらしい。

第8章でQ・マルキウス・フィリップスという戦争による功績によらずに立身出世を成し遂げた元老院議員が紹介されている。その中で彼の子孫が発行した貨幣の図象がマケドニアを想起させるものであることを補強資料に挙げている。
コインの研究がこういうふうに役立っているのは興味深い。今後、ローマコインについて取り上げてくれる研究者がさらに増えていくことを期待したい。

投稿者 augustus : 2006年11月19日 14:21

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古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
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