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2005年10月10日

レトリック式作文練習法―古代ローマの少年はどのようにして文章の書き方を学んだか

レトリック式作文練習法―古代ローマの少年はどのようにして文章の書き方を学んだか
香西 秀信(著), 中嶋 香緒里(著)
明治図書出版 (2004-11)
¥ 2,415
ISBN:978-4185224161

ヨーロッパで17世紀頃まで行われていたプロギュムナスマタ(予備練習)と呼ばれたレトリックの訓練方法を現代に利用可能なように再構成したもの。

ローマの上流階級の子供たちが学ばなければならない重要な学問がレトリック(弁論術、修辞学)である。4世紀末のアフトニウスによると、プロギュムナスマタは寓話、物語、逸話、格言、反論、立論、共通論拠、賞賛、非難、比較、性格表現、描写、一般論題、立法弁論という風に段階に分けて、少しずつ訓練されていく。この本では古代、中世に行われていたものを縮小して再構成することが試みられている。したがって、必ずしも古代の子供たちの勉強方法のままとは言えないわけだが、その雰囲気は味わうことができて興味深い。
真面目に練習すれば説得力も増しそうである。

投稿者 augustus : 16:47 | コメント (0) | トラックバック

2005年10月02日

イソップ風寓話集

イソップ風寓話集
パエドルス(著), バブリオス(著)
国文社 (1998-01)
¥ 4,515
ISBN:978-4772004046

イソップの名は誰もが知っており、「寓話におけるホメロス」とも称せられている。紀元前6世紀頃のトラキア出身の奴隷で、後に解放されたとされるが、彼の生涯の詳しいことは不明である。

本書はパエドルスとバブリオスがイソップの寓話と自分の創作を詩の形で刊行したものである。パエドルスはアウグストゥスの奴隷だったが解放され、アウグストゥスやティベリウスの家で家庭教師をしていたらしい。バブリオスがいつの人なのかは難しい問題のようだが、1世紀末には彼の寓話詩集が完成していたらしい。
いずれも単に教訓を与えようとするのではなく、読者を楽しませようとする作品である。もちろん現代の読者が読んでも楽しい作品になっている。「きつねと葡萄」などのおなじみの寓話も多数収録されている。

パエドルスの寓話の中にはティベリウスの親衛隊長であったセイヤヌスを批判したらしいものもあるそうで、興味深い。

投稿者 augustus : 19:30 | コメント (0) | トラックバック


古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
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