西洋法制史料選 1 古代 (1)

西洋法制史料選 1 古代 (1)

創文社 (2004-03)
¥ 6,825
ISBN:978-4423740378

古代ローマの法に関する一次史料を和訳し、原文と解説もつけたもの。
ローマの法だけでなく政治的な動きについても大いに参考になる史料がまとまっていてありがたい。内容は以下の通り。

1. 王法
2. 十二表法
3. パトリキとプレーブスの身分闘争に関する史料
4. 共和政務官表
5. 不法徴収返還請求に関するアキーリウス法
6. 土地法(前111年)
7. 神皇アウグストゥス業績録
8. ウェスパシアーヌスの命令権に関する法律
9. 属州行政に関するプリーニウスの書簡
10. 永久告知録
11. ガーイウス 法学提要
12. アクィーリウス法とそれをめぐる法学説の展開
13. 引用法(426年)
14. テオドシウス法典
15. ローマ法大全

特に興味深いのは「パトリキとプレーブスの身分闘争に関する史料」の部分。権力闘争の結果が法律に現れてくるところなどがローマ人らしくて面白い。

投稿者 augustus : 12:10 | コメント (0) | トラックバック

ガーイウス法学提要

ガーイウス法学提要
佐藤 篤士(翻訳), 早稲田大学ローマ法研究会(翻訳)
敬文堂 (2004-09)
¥ 5,775
ISBN:978-4767001029

ユスティニアヌスの「ローマ法大全」に採り入れられ、後の世のローマ法に多大な影響を残した「法学提要」の邦訳。

著者のガイウスは2世紀頃の法学教師だったらしい。「法学提要」は生徒に法律を教える教科書として書かれたもののようである。だから、比較的分かりやすく、分量もそう多くないから読みやすい。

もともとは単なる教科書だから法源としての力はなかったのだが、5世紀にはテオドシウス2世とウァレンティニアヌス3世の勅法によって、ガイウスなど5人の法律家の意見が法律同様の効果を持つようになった。
そして6世紀、ユスティニアヌス帝の命令でローマ法大全が作られたが、法学提要にはガイウスの内容も含まれ、彼の名は不朽のものとなった。

中身は法を人、物、訴訟についてのものに分類して扱っている。読んでみると法律を巧みに運用していたローマ人の姿が想像され興味深い。

投稿者 augustus : 17:17 | コメント (0) | トラックバック

イソップ風寓話集

イソップ風寓話集
パエドルス(著), バブリオス(著)
国文社 (1998-01)
¥ 4,515
ISBN:978-4772004046

イソップの名は誰もが知っており、「寓話におけるホメロス」とも称せられている。紀元前6世紀頃のトラキア出身の奴隷で、後に解放されたとされるが、彼の生涯の詳しいことは不明である。

本書はパエドルスとバブリオスがイソップの寓話と自分の創作を詩の形で刊行したものである。パエドルスはアウグストゥスの奴隷だったが解放され、アウグストゥスやティベリウスの家で家庭教師をしていたらしい。バブリオスがいつの人なのかは難しい問題のようだが、1世紀末には彼の寓話詩集が完成していたらしい。
いずれも単に教訓を与えようとするのではなく、読者を楽しませようとする作品である。もちろん現代の読者が読んでも楽しい作品になっている。「きつねと葡萄」などのおなじみの寓話も多数収録されている。

パエドルスの寓話の中にはティベリウスの親衛隊長であったセイヤヌスを批判したらしいものもあるそうで、興味深い。

投稿者 augustus : 19:30 | コメント (0) | トラックバック

プリニウス書簡集―ローマ帝国一貴紳の生活と信条

プリニウス書簡集―ローマ帝国一貴紳の生活と信条
国原 吉之助(著)
講談社 (1999-03)
¥ 1,418
ISBN:978-4061593671

ドミティアヌス帝からトラヤヌス帝の頃に活躍した元老院議員プリニウスが残した書簡集。
内容は公的な仕事に関するものから、私的生活に関するものまで様々で、家族を思いやる様子や友人との交流などもわかり興味深い。

管理人augustusが特に興味を持ったのはトラヤヌス帝との往復書簡。この頃、プリニウスはビチュニア属州の総督として赴任していた。属州統治に関しての皇帝への問い合わせと回答を読むと、ローマ帝国の支配の仕組みが見えてくるようで大変面白い。
例えば、トラヤヌス帝の時代もキリスト教は禁止されていた。しかし、告発されても本人が皇帝像を拝みキリスト教徒でないことを示せば放免された。また、匿名の告発は受け付けず、わざわざ信者を捜して罰するようなことも行われていなかったのだ。

投稿者 augustus : 18:38 | コメント (0) | トラックバック

食卓歓談集

食卓歓談集
プルタルコス(著), 柳沼 重剛(翻訳)
岩波書店 (1987-10)
¥ 693
ISBN:978-4003366431

対比列伝で有名なプルタルコスが宴席での楽しい会話を記録したもの。(あるいはそういう形式で書いたもの。)
取り上げられるテーマは気楽で興味深いものが多い。 例えば、「鶏と卵ではどちらが先か」、「なぜ塩は神聖だと考えられるのか」、「酒席で哲学談義をしてもよいか。」等々、どこから読んでも楽しめるだろう。

投稿者 augustus : 18:54 | コメント (0) | トラックバック

年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ

年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ〈上〉
C. タキトゥス(著), Cornelius Tacitus(原著), 国原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1981-01)
¥ 987
ISBN:978-4003340820
年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ〈下〉
C. タキトゥス(著), Cornelius Tacitus(原著), 国原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1981-01)
¥ 945
ISBN:978-4003340837

ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝の時代の出来事を年代順に綴っている。表現は劇的で、陰謀渦巻く時代を生き抜いた人々を生き生きと描き出している。 スエトニウスと違い、ゴシップを無批判に書いたりはしないので記述の信頼性が高く、この時代の第1級の史料である。

著者のタキトゥスは1世紀半ばに生まれ、1世紀おわり頃には執政官の地位に登り詰める。年代記は2世紀の始め頃に書かれている。

投稿者 augustus : 18:56 | コメント (0) | トラックバック

ローマ皇帝伝

ローマ皇帝伝 上
スエトニウス(著), 國原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1986-08)
¥ 840
ISBN:978-4003344019

ローマ皇帝伝 下
スエトニウス(著), 國原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1986-09)
¥ 987
ISBN:978-4003344026

騎士階級出身のスエトニウスの2世紀初め頃の著作。

原題は De Vita Caesarum Libri VIII (カエサルたちの伝記八巻)で、共和政最後の英雄ユリウス・カエサルと、帝政を始めたアウグストゥス、そしてその後の10人の皇帝ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ、ガルバ、オト、ウィテリウス、ウェスパシアヌス、ティトス、ドミティアヌスの合計12人のカエサルたちを扱っている。ユリウス・カエサルからネロまではカエサルは家名だが、彼らと家系上のつながりの無いガルバ以降の皇帝もカエサルを名乗ったので、カエサルは皇帝の称号の一つに変化したと考えられる。だから、「カエサルたちの伝記」を「ローマ皇帝伝」と訳したのも納得できる。

内容は皇帝が個人的に関わった様々なことで、ゴシップや迷信深い記述も多く、タキトゥスに比べて信頼度は低いかもしれない。しかし、迷信深さも当時の人の気持ちを知る手がかりになるし、ゴシップもそういう話を人々が信ずるような背景があることを示す貴重な資料である。

"Twelve Caesars" という言い方を良く見かけるが、スエトニウスが皇帝伝で扱った12人のことを指している。 余計なお世話だが岩波文庫はしばしば品切れになる。お持ちでない方は早めに入手することをお勧めする。

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西洋古代史料集

西洋古代史料集
古山 正人(翻訳), 田村 孝(翻訳), 本村 凌二(翻訳), 中村 純(翻訳), 毛利 晶(翻訳), 後藤 篤子(翻訳)
東京大学出版会 (2002-04)
¥ 2,730
ISBN:978-4130220187

一次史料を読むのは大切なことだけど、どんなものがあるのか探すのも大変、和訳されていなければ読むのも大変。
この本はギリシャ、ローマ時代の様子を知るのに役立つ様々な一次史料のうち、おいしい部分を和訳している本。コンパクトにまとまっており、一般のローマ史愛好者や高校生にもお薦めできる。

投稿者 augustus : 18:55 | コメント (0) | トラックバック


古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)
古代ローマ (ローマ帝国の歴史とコイン)